犬の正しいダイエットを知る
愛犬にいつまでも健康で長生きしてほしいと思うのは、どの飼い主さんも願う事です。
その秘訣はなんと言っても適正体重を維持する事です。
適正体重を超える場合はダイエットを始める必要があります。
しかしそのダイエットも方法を間違えると不健康になったり、最悪命の危険にさらされます。
ダイエットも正しい方法を取れば、しっかり痩せる事が出来ます。
今回はその正しいダイエットの方法を説明したいと思います。
肥満の原因と適正体重を理解する
室内飼いは肥満のリスクが増える
とは言え、最近は室内飼いがほとんどで、昔に比べると飼い主さんと一緒にいる時間が長くなりました。
その事で、飼い主さんはわんちゃんの喜ぶ姿が見たくて、つい人間の物や、おやつを与えてしまい、犬に取っては高カロリーになり肥満になります。
さらに室内では運動量も少なくまた寝ている事が多いです。これらの要因が重なり、肥満気味の犬が増えているのです。
動物病院の調査によると、来院するわんちゃんの肥満率は1~3割もあるそうです。
「肥満は万病の元」と言います。
今一度愛犬の体形を見直してあげて下さい。
避妊・去勢後は肥満になりやすい
食事やおやつの食べ過ぎ以外で犬が太る原因は、避妊や去勢による性ホルモンの変化です。
メスは発情期になると食欲が落ち、オスも発情期のメスに反応して食欲が落ちます。
ところが避妊や去勢をすると、そういった変化が起こらなくなります。
という事は、一年を通して常に同じ量を食べるため、少しずつ太ってしまうのです。
また、年齢と共に代謝が悪くなるので、シニアになると太るスピードは加速します。
避妊や去勢した後は、体重管理をしっかり行ってあげましょう。
今では避妊・去勢犬用のフードもたくさん出ています。
もちろんですが、総合栄養食であるプレミアムフードを与え続けて下さい。
適正体重を把握する
わんちゃんには犬種や性別によって適正体重があります。
これは専門家でないと把握していない事が多いです。
また専門誌などにも載っていますが、それは悪魔で目安です。
心配のようであれば、獣医師やペットショップで相談をして、ボディチェックをしてもらいましょう。
ボディ・コンディション・スコア
愛犬の肥満具合を簡単にチェックできるスコア表というのがあります。
これを目安に、愛犬がどのレベルであるかをチェックし、スコア4や5の場合は早急にダイエットを始めてあげましょう。
また心配の方は、獣医さんへ行って同時に血液検査等も受けた方がいいかもしれません。
本当に怖い肥満のリスク
肥満で関節を痛める
人間でも良く聞く話ですが、犬も肥満で一番問題になるのが関節です。
重い体重を支えるために膝関節が圧迫され、どんどんすり減ってしまうのです。
更に症状が悪化すると、骨同士がぶつかり合って骨関節症を発症します。
これは、蹴り出す時や踏ん張る時に痛みを感じるため、歩き方がおかしかったり、階段を嫌がったり、ソファーや車に乗る際に飛び乗らなくなります。
この様子を見たら、骨関節症を疑ってもいいと思われますので獣医さんへ相談に行って下さい。
肥満による腰への負担
動物は腰椎に肋骨がありません。なので、四脚で立つと補助してくれる骨が無いので、内臓が背骨にぶら下がっている状態になります。
そうすると、犬の体重が増えてくると、そこにお腹の脂肪が加わり、より一層腰に負担を掛ける事になります。
痛めてしまうと椎間板ヘルニアになり、重症化すると歩けなくなります。
これは胴の長いダックスやコーギーに特に多いと言われているので、注意が必要です。
フレンチブルドッグやパグも先天的に背骨に異常がある事があるので注意が必要です。
低酸素状態や心不全、血栓症の危険
口から肺に繋がる気道に脂肪が付くと、空気の通りが悪くなり酸素が取り込みづらくなります。
これは無呼吸症候群状態が起きている時に常に続いている状態なのでとても危険です。
低酸素状態になると体が休む事が出来ず、落ち着きがなくなったり、ストレスでイライラする子もいます。
更に寝ている時は、筋肉が緩むため顕著に症状が出ます。
小刻みに震えていたり、フゴフゴという音がしたり、大きないびきをかいている場合は注意が必要です。
フレンチブルドッグやパグ、シーズーなどの鼻の短い犬種は特に気をつけるようにしましょう。
また、呼吸が浅く低酸素状態になると、心臓が血液を送る事で不足した酸素を補おうと必死に動くため、それが結果的に心不全を起こす事があります。
他にも、血圧が上がる事で腎臓へ負担を掛けたり、血栓症を起こす恐れもあります。
この様に呼吸がちゃんと出来ていないだけで様々な箇所に影響を及ぼす危険があります。
飼い主さんがその変化にいち早く気づき対処をしてあげて下さい。
脂肪が原因で熱中症にかかりやすくなる
人間もそうですが、太るという事は体全体に脂肪を巻き付けているようなものです。
脂肪は熱をため込みやすいため、熱中症にかかりやすいのです。
肥満気味のわんちゃんは夏場は体温が上がり過ぎないように注意をしましょう。
正しい食事のダイエット
目標体重を決めて、減量食で体重を落とす
犬も人間同様のカロリー消費をします。
運動によって消費されるのは、全体の1/4程度で、運動だけで痩せようとしてもあまり効果はありません。
やはり食事によるダイエットも必要です。
かと言ってわんちゃんにも1日に必要なエネルギーがあります。いきなり食事の量を減らすのではなく、少しずつ時間を掛けて落とすようにしましょう。
また減量食を続けているとわんちゃんは味に飽きがきます。その場合はふりかけなど少し味が変わるもので工夫をしてあげて下さい。
また、水分もしっかり摂らせて、腸内環境も同時に整えてあげるとスムーズにダイエットが進みます。
おやつは成分に配慮を
ダイエット食を続けていると、わんちゃんも嫌気がさしてくるので、たまにおやつのご褒美をあげましょう。
しかし、高カロリーのものを与えては意味がありません。
またおやつをあげる場合は、フードの量を減らすなどしてカロリーのコントロールが必要です。
おやつの成分ですが、小麦がメインで作られている物よりは、肉100%で作られている物の方がいいです。
また低カロリーや野菜で作られたおやつもいいと思います。
野菜や寒天でかさ増し
ダイエットを続けていると、空腹感からのストレスがあります。
それを取り除くには、キャベツなど繊維質と水分が殆どの野菜を使ってかさ増しをしてあげて下さい。
また、寒天にササミの煮汁やカツオだしを少しつけて混ぜてあげるのもオススメです。
フード事態をお湯でふやかして、量を増やすのもいいかもしれません。
1日のフードを複数回に分けて与えるのも空腹時間が短くなりストレスの軽減になると思います。
正しい運動のダイエット
フードの置き場所を工夫する
普段は1つのフードボウルに1回食分を入れて食べていると思いますが、この1回食分を小分けにして、部屋のあらゆる場所に置きます。
そうする事で鼻の良いわんちゃんは、匂いをかきわけながら探し周ります。一見大した運動には見えませんが、これを毎日続けるだけでも、とてもいい運動になります。
関節など痛めていなければ、少し段差のある位置に置くのもいいです。
砂場を歩かせる
足場が不安定になる砂場は、体のバランスを取ろうとします。その事で筋肉への負荷が増して、カロリーの消費に繋がります。
筋肉を鍛える事で基礎代謝もあがるのでとても効率的です。
また、アスファルトの様な固い地面を歩くよりも、柔らかい砂場は関節の負担も軽減されるのでとてもオススメです。
フィットネスジムへ行く
最近は肥満のワンちゃんが増えた事により、わんちゃん専用のフィットネスジムまで出来ています。
実際に専門のスタッフがわんちゃんに合ったトレーニング内容で、また体に負荷がかからないように配慮もしてくれます。
また食事などのアドバイスや体重管理も行ってもらえます。
自分ひとりでは自信がなかったり、正しい方法が分からない場合は、相談ものって貰えるので心強いかもしれないです。
ただ、これには費用もかかりますが、飼い主さんもかなりの時間拘束される事になります。
最後に
わんちゃんは一旦太らせてしまうと適正体重に戻すためのダイエットが大変です。
普段の食事量より少ないや、ご飯が変わって美味しくないなど、わんちゃんは食べたい意欲が抑えられずに様々なストレスを抱え問題行動を起こしてしまいます。
そんな愛犬を見るのがとても辛くて途中でダイエットを止めてしまう飼い主さんもいるほどです。
そこはぐっと我慢して、愛犬が健康で長生きしてもうらようにダイエットをさせてあげるしかありません。
また、室内犬で散歩にほとんど行った事が無い場合でも、軽い運動も必要です。
一緒になって頑張ってあげて下さい。
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